それはきっと、届かないことを知っているからかもしれない。 クリスマスの色に綺麗に飾られたモミの木を見上げながら、自分がはじき出した答えに失笑した。 初めから分っていたはずだった。これが届かない思いだって、こと、くらい、分って、いた、はずたった。 せめて、このイルミネーションだけは、貴方と見たかった。と思ったら、涙が出てきた。 泣くな。泣くな。泣いちゃいけない。駄目、泣くな、私。 「っ、ふ……っ、…。」 でも、だって、この想いは止められない。 クリスマスツリーの前で立ち止まって泣いている私は、他人の目からはどう、映るんだろうか。 クリスマス前に恋人と別れた、そんな哀れな女に見えているんだろうか。でも今はそんなこと、どうでもよかった。 「…っ……きん、ちゃ…っ。」 好きだった、好きだった、好きだった。 きっと今も大好き。 ハンカチなんて出してわざわざふく気にもなれなくて、ただ、ただ、溢れる涙を手で、腕でぬぐった。 分ってた、分ってた、所詮彼から見れば、私は客の一人でしかないことなんて、分ってた。 ホストがいうことなんて信じちゃいけなかった。ホストだって割り切ればよかった。 でも、金ちゃんは笑いかけてくれたよね、優しい笑顔で。 ふわふわ金髪をゆらして、まるで子猫でもあやすような優しい色をした紅い瞳で、私に笑いながら、キス、してくれたじゃない。 ねぇ、金ちゃん。ホストはなんとも思っていない女の子を抱く代わりに、好きな女の子にしかキスしてくれないんじゃなかったの。 だって、金ちゃん、そう言ってたよ。私に向かってそう言ってくれたじゃない。 私の唇は、そんなおばちゃんと同じくらいの価値だったの? |